Interview

【SBイノベンチャー】社内起業家を増やす”仕掛け”への挑戦

【SBイノベンチャー】社内起業家を増やす”仕掛け”への挑戦

「日本に“社内起業家という働き方”を増やしていきたい」。
社内起業家の事業創出を「支える側」の想いについて、緻密な仕組みと本気の熱量で伴走するSBイノベンチャーに迫る。

人事からスタートして事業立ち上げも経験

―SBイノベンチャーでの取り組みについて伺う前に、佐橋さんの自身のキャリア・経歴についてお聞きしたいと思います。入社してから関わってきた業務について教えてください。

2004年に、主に固定通信領域の事業を手がける旧ソフトバンクBB株式会社に新卒入社しました。最初は人事に配属されまして、そこで4、5年くらい人事の仕事をやりながら「事業部門に行きたい」という希望を出していました。

そして、2009年のタイミングで、翌年がちょうどソフトバンク(現 ソフトバンクグループ)創業30年の年で、「次の30年のビジョンを作る」というプロジェクトを立ち上げるために、社長室を作ることになりまして。

―そこで社長室に異動されたんですね。

そのタイミングで、現ソフトバンクの専務執行役員 兼 CHRO 青野 史寛 氏から、チャンスをもらいまして。全社の中から比較的若いメンバー5人が集まって、社長室を結成する、という歩みがあったんです。そこからは、中長期戦略の立案や新規事業のプロジェクトなどを担当していました。

その後、戦略を考えるのもいいけれど、やっぱり「事業をやりたいな」という思いがありまして。ちょうど東日本大震災が起きてエネルギー事業を立ち上げる、というタイミングで社長室の中でそこの担当をしていたので、そのまま子会社として立ち上げることになって。

―SBエナジー社ですね。

そうです。SBエナジー株式会社というグループ会社を少人数で立ち上げました。初期の頃からプロパー社員を採っていくという方針だったので、事業を伸ばしながら中途採用も行いました。それから3年くらいで、会社としても100人を超える組織になりましたし、事業としても好調でしたので、「そろそろ戻ってこい」ということになりました。

孫さんのもとで修業をしていくのも、もちろん良かったのですが、やっぱり「新規事業がすごく好きだな、新規事業どっぷりの環境にいたいな」と改めて思っていたので、2014年の頭ごろから社長室の中で、ソフトバンクイノベンチャーの担当をやらせてもらうことになりました。

事業創出を支える組織体制

―SBイノベンチャー社についてのお話を詳しく伺っていきたいと思います。もともとの立ち上げの目的はどのようなところに置かれてらっしゃったのですか?

「ソフトバンク 新30年ビジョン」を検討する中で、次の30年、つまりソフトバンクグループの創業31年から60年目までに何が起こるかを考えていったときに、「孫さんが引退する」っていうのがあって。

これまでのソフトバンクグループの歴史の中で、今残っている事業の多くは、やっぱり孫さんが生み出した物なので、良い意味でも、悪い意味でも、トップダウンで、孫さんへの依存が強い会社でした。そういった議論を重ねる中で、「孫さんがいなくても成長し続ける企業グループである仕組みを考えないと、なかなかまずいよね」となったのが着想です。

「グループ5,000社規模」という大きなビジョンがあり、当然そこにはM&Aや資本的なパートナーシップでシナジーを生み出すグループ会社を増やしていくという戦略も入ってきますが、一方でそのうちの一部は社内起業で立ち上げたいと考えて、その手段の1つとしてこのソフトバンクイノベンチャーの仕組みを作りました。

―社内からの新規事業創出促進が主な目的だったんですね。人材育成観点での貢献も視野に入れてましたか?

人材育成の目的もありました。それは今も両軸の目的でやっているという感じですね。ただ、「提案者が事業に本気で取り組んだ結果として、人材育成にも繋がっている」という目的意識で運営しています。

―体制についてもお伺いしたく思いますが、現在SBイノベンチャー社として、どのような組織と役割分担で運営されてますか?

組織は、シンプルに事業推進部と管理部の2つに分かれていまして、あわせて15人くらいで運営しています。会社としての管理系業務は管理部が担っています。

そして、私が所属する事業推進部は、事業を作るプロセスのオペレーションを回したり事業提案の審査を行っています。事業を作りたい人と、共同創業メンバーくらいの感覚を持って一緒に事業を作っていく、というようなスタンスで支援をしています。

―伴走して支援する形ですね。バックグラウンドとしては、実際に事業の立ち上げ経験のある方も多いんですか?

事業部門から異動してきた人も、人事出身の人も、私と同じように社長室出身の人もいたりと、色々な経歴の人がいます。全員に共通しているのは、「新規事業が大好き」というところですかね。幸い、この環境にいると、日々色々なアイデアや新規事業に触れられるので、その中でみんな勘所を押さえていくというのが実体かもしれないです。

緻密で手厚い支援制度の設計

―実際の支援のプロセスについてもご紹介いただけますでしょうか?

全体像としてはこの図のようになっています。

まずは応募の前段階から社内起業のスキル・マインドを育成し、さらにアイデア創出やアイデアの仮説検証を支援するための「イノベンチャー・ラボ」というインキュベーションプログラムがあります。

そして、事業提案の応募受付から審査のプロセスがあって、最終審査を通過したら、そこから本格的なスタートということで、1案件に対して500万円の予算を付けて、β版のプロダクト作りが始まっていきます。大きくクローズドβとオープンβとに分けているのですが、いわゆるリーンスタートアップのマイルストーンをステータス管理にも使っていまして。

その500万円を活用しながらKPIを伸ばしていって、求めるKPI水準をクリアしたら会社設立をして、その後も、シード、シリーズA、といった形式で、いわゆるVCが起業家を支援していくように、事業のステージに合わせた支援をする、といった仕組みにしています。

特徴としては、「会社を立ち上げるようにしている」ということですかね。昔は必ずしもそうではなかったのですが、最近だと事業化に際しては、基本的には必ず会社を設立して運営するようにしています。

―イノベンチャー・ラボも特徴的かと思いますが、登録者は何人くらいいるんですか?

基本的には意思さえあれば誰でも登録できて、現在3,100人を超えているくらいですかね。それこそ「起業したい」とか、「新規事業が好き」、「社内起業したい」とか、そういう人であれば誰でも登録は出来ます。

―イノベンチャー・ラボに所属していた方からの事業提案が多いですか?

ラボを通らず直接応募してくる人もいます。ただ、結構レベルの差が開いてきていて、やっぱりラボでの活動を経て応募してくる人の方が最終審査の通過率が圧倒的に高いです。

―審査のサイクルは、年に何回のペースで回されていますか?

今は年間で3回やっています。もともと年1回だったものを徐々に増やしてきています。イノベンチャー・ラボを立ち上げたのも2016年からですし、常に改善を続けながら運営しています。

―どのような観点で事業とチームを見極めてるんですか?

例えば最終審査では、「どれだけ検証を回しているか」です。いわゆるMVPを作って、どれだけPSFの検証が出来ているか、ということ。

あとは最終的に見据えているマーケットの規模も当然ありますし、そのマーケットの中で市場機会をどのように見出していて、その機会を捉えるだけの力強い勝ち筋があるかどうか、という観点も大事ですね。

―チーム、メンバー自体の意志の強さや、やりきる力といったところも?

それもめちゃくちゃ見ています。最初に書類審査があって、その後に中間審査を経て、最終審査に進むのですが、それぞれ1ヶ月くらいは空くんですよ。書類審査を通過したら、必ずSBイノベンチャーの担当が2人つくんです。

その中で、毎週定例ミーティングなどをやっていると、やっぱりチームの特徴がよく見えるので、サポートしてきた中で見えたチームの特徴についても、最終審査の審査員にインプットした上で審査に臨んでもらっています。

―支援の体制がかなり手厚いですね。

かなり手厚い方だと思いますね。基本的には事業推進部でサポートしているのですが、少し特殊なテーマの事業の場合には、社内、社外のリソースも活用しながら、その領域に詳しい人をつけるようにしていたりもします。

―応募自体はどのくらいのボリュームで上がってくるんですか?

件数は毎回変わっています。今が第13回の審査を回しているところなのですが、今までの累計では6,600件の応募がありました。以前は1年に1回の募集で、1回の応募数は1,000件は超えていましたが、その時はただのアイデアコンテストみたいな提案もあったので、審査する側の負荷もすごく高くて。

でも、1件ずつにちゃんと丁寧にフィードバックしていかないと、応募する社員としても「また挑戦しよう」とは思いません。「件数って多ければいいというもんじゃないな」というのが当時の気づきでしたので、ある時期からは書類審査のレベルを大きく上げるようにしました。

―フォーマット自体を大きく変えたんですか?

フォーマットをがらっと変えて、求めるレベル感自体も変えました。ある種、意図的に応募件数を減らし、質の高い案件を揃えるような運用ですね。それに合わせて、書類審査前のステップで手厚くサポートをするという趣旨で、イノベンチャー・ラボを立ち上げたという側面もあります。

プロセス全体の中では結構な数のアイデアが動いています。今の応募件数は、1回あたり130件くらいです。この運用にしてから、応募段階でのレベル感はやはり上がっているという手応えを感じています。

―「会社設立」のメリット・デメリットはどちらもあると思いますが、原則は会社設立にする、という制度を定着させるハードルは高くなかったですか?

とても高かったです。「本当に会社を立ち上げる意味があるの? 管理工数が半端ないでしょ」ということはやっぱり言われましたし、成功事例をどんどん出していかないと今後もそのように言われるだろうな、と思っています。

―好事例も出てきていますよね。

事例も出てきていますね。あとは「仕組み」の話もありまして。今のソフトバンクは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先とジョイントベンチャーを立ち上げて、海外の優れたテクノロジーを日本で展開するという新規事業の創出に取り組んでいます。0→1のフェーズはやっぱり不確実性が高いので、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先のアセットとソフトバンクの事業基盤を生かして新規事業を創出するというのは、大企業としての戦略という意味では、正しいと思います。

一方でSBイノベンチャーは0→1に挑戦しようとしている会社なので、立ち上げた事業は、いわゆるシリーズA・Bあたりのフェーズがソフトバンクイノベンチャーの環境を卒業するタイミングだと置いてまして、その後はその会社の株式をグループ内で譲渡しています。なので、SBイノベンチャーの運営は、主にその譲渡益で回しています。

―そのようなスキームによって会社設立することのメリットが取れたんですね。

そうですね。あとは、やっぱり事業の提案者が明確に「社長」という責任を持つと、本人の目の色が変わりますね。事業に対するコミットが全く変わります。大きな組織の中の主担当とか責任者と言っても、どこまでその全ての事業の責任を見るかというと、社長のそれにはやっぱりかなわないんですよね。

―責任の大きさによるコミットですね。

その緊張感が、人材育成という意味でもいいと思いますし、経営の自由度があることによって大企業ではできないような独自の成長を遂げることもきっとあるだろう、という期待感も持っていますね。

会社を設立することでどのくらい事業の成功に繋がっているか、というのは定量的には見せにくいのですが、でもきっと良い影響があるだろうと。今はそう信じてやっている、という感じですね。

社内起業カルチャー醸成に向けた取り組み

―応募自体もとても活発な印象ですが、どんなモチベーションで挑戦する方が多いですか?

設立した会社には提案者自身も出資できるので、「普通のサラリーマンでは得られないようなリターンを得てやる」っていう野心を持っている人もやっぱりいますし、「自分の考えた、世の中の課題を解決するサービスがリリースされるっていうことだけで嬉しいんだ」という想いの人もいますし、そこはそれぞれですね。

―同じ部署で長く働いている人も多い中で、挑戦的な空気感作りのためにどのような工夫をされてますか?

例えばですが、グループイントラで「こんなワークショップをやりますよ、こんなゲストの講演会をやりますよ」と、日々色々なコンテンツを出してます。ずっとそれをやり続けていると、「あれ、ソフトバンクイノベンチャーって本気で良いコンテンツを提供していってるな」みたいな空気感が生まれてくるかと思っています。

あとは、本当に注目されるような新規事業の成功事例が生まれてきたりしたことで、少しずつ見られ方が変わってきたな、というのはありますね。1個でも明確な成功事例が出ると、その事業のメンバーと、もともと一緒に働いていた部の社員などが続々と応募してくるんですよ。「アイツにできるなら!」とか、そういう気持ちなんだと思います。

―優秀な人材を抱えておきたい部署との軋轢があるケースもあるかと思いますが、事務局としてどのようなケアをされてらっしゃいますか?

審査を通過して提案者がSBイノベンチャーに出向開始になるタイミングで、我々が直接その提案者が所属する部の部門長に説明に行って、理解と協力のお願いはしています。ただ、我々に出来るのはそのくらいでして、提案する本人が、自分自身のキャリア設計の中で「なぜこの挑戦をしたいのか」という話を、日頃からどれだけやれているか次第というのが大きいですね。

あとは、過去に「HELLO CYCLING」という事業が事業化したときに、全社でも1つの成功事例として認められるくらいに成長し、提案者の当時の部門長が「自分の部下から社内起業家を輩出した」ということをすごく誇りに思ってくれて。ソフトバンクイノベンチャーのことも応援してくれるようになり、その部署内からの提案がすごく増えた、ということもありましたね。

―現状の制度全体の中で、課題として捉えているポイントはありますか?

課題は常にいっぱいありますが、1つは「イノベンチャー・ラボはもっともっと進化できる」と思っています。

世の中の社内起業制度は「提案を募集して、審査して、落ちたものにフィードバックして、また募集して」というサイクルの繰り返しのものが多いです。要は提案をしてくる人との接点が、その瞬間のみの「点」でしかありませんでした。

それを繰り返していても、制度の運営側としては良い人がいたら審査を通過していくけど、それではまるで宝くじの当選を待っているようなもんじゃないか、と。審査通過の後の仕組みは整えたものの、その前のフェーズに課題があったんですね。

―どうしても接点が局所的になりがちですよね。

そうなんですよ。仕組みとしての継続性がないな、と。「この人はどんな事業に興味があって、どんなアイデアを持っていて、どこまで検証が進んでいて」というのを把握するために、もっとイノベンチャー・ラボとしてガッツリとその人と接点を持って、情報をデータベース化し、各人のステータスや気持ちに合ったコンテンツなどをちゃんとぶつけていくということをやってこそ、「事業が計画的に生まれる仕組み」になるんじゃないか、と。

0→1なので仕方ない部分もありますが、「当たったらラッキー」ではなく、やっぱり私としては、「計画的にこちらが仕掛けて事業を作っていく」という仕組みにしたいんですよ。

―今はラボに登録している会員の細かい分析にも取り組んでるんですか?

まさにそこが課題です。3,100名以上もの登録者がいる中でのアクティブ率はまだまだ低いです。

積極的に動いている人たちとは密にやり取りをしていて、そういう人たちの状態は分かるのですが、我々の知らないところで動いている人もいるし、そういう人たちの動きも追えるように、データベースをリッチにしていきたいな、と思っています。

イノベンチャー・ラボの会員向けのポータルサイトがあるので、今は、この中でニュース配信やメンバー募集をしていたりします。

―例えば「開発メンバーが欲しいな」っていうときに、この中で連絡を取ってチームを作ったりも出来るんですか?

そうなんです。会員のプロフィール情報から経歴やスキルも見ることが出来て、ポータルを起点にコンタクトして、チームアップして、といったことが出来るようにしているんですよね。

今は本人にプロフィールを入れてもらっているのですが、もっともっと情報を追加していって、データベースをリッチにしていくということに、まさにこの上期で取り組んでいます。

あとは、事務局主催でチームアップのイベントもよくやっていまして。ピッチのイベントを開いて、その後に懇親の場を設けて、そこでマッチングする率が結構高いんですよ。ポータルの中でいきなり声をかけるのは恥ずかしいという人も多いので、代わりに事務局側が探して、マッチングの場をアレンジするみたいなこともやっていますね。

日本に”社内起業家という働き方”を増やしていきたい

―今後さらにチャレンジしていきたいことについても教えてください。

まず会社側の目線としてですが、「社内起業制度」って今まで色々な会社が試してくる中で、色々な会社が「上手くいかなかった」と言うので、「社内起業=上手くいかない」みたいなレッテルを貼られていると思っていまして。

私としては「そんなことはない、やり方次第だ」と思っているので、「世の中の主要な事業化手段の一つとしての社内起業」をちゃんと定着させたい、と思っています。

一方で社内起業家側の目線としては、社内起業という働き方自体が「自分の自己実現を達成しながら、会社にも貢献できる」という意味ですごく良い働き方だと思うし、「もっともっと日本に社内起業家という働き方を増やしていきたい」ということは思っていますね。

―SBイノベンチャー社としては、どのような展望を描いていますか?

佐橋氏:例えば仮に、「e-Sportsによって、日本を再び世界トップの経済大国にするんだ」みたいなビジョンがあったとするじゃないですか。

その時に、このチームはe-Sports業界全体の課題のこの部分を解決して、別のチームが別の部分を解決して、というように、それぞれのパーツを組み合わせて、このSBイノベンチャーの仕組み全体で大きなビジョンを達成する、というのをやっていきたいです。

そのための大きな円、ビックピクチャーを我々の方で描いて、それをもとに戦略的に仕掛けていく、みたいなことはチャレンジしたいなと思っています。

―チャレンジしがいのある取り組みですね!

佐橋氏:そうですね。それが出来たらいいな、と。当然その中には、ソフトバンクイノベンチャーから出てくるものだけじゃなくて、ソフトバンク本体がやっている領域や事業も入ってくるわけですけど、それはグループの中で連携してやっていければいいと思っている。そういった大きな構想を描いて取り組んでいきたいと思っています。

社内起業家、事務局担当へのメッセージ

―最後に、日々奮闘している社内起業家の方々、もしくは社内起業家を支える立場の事務局担当の方へのメッセージ、応援のアドバイスを頂戴できればと思います。

まずは、事務局、運営担当者に伝えたいことですが、ほとんどの会社では新規事業制度の運営をやり切れていないと思うんです。当社は全員が専業でやっていますが、本気でやらないといいものって生まれてこないと思うんですよ。

ですので、ぜひ一緒に「社内起業」というポテンシャルを信じて、お互い知恵を出し合って、「社内起業の仕組みがどうやったら良くなるか」の意見交換をして、「一緒に日本で社内起業を流行らせませんか?」ということを言いたいです!

そして、チャレンジする側の社内起業家の方に対しては、「サラリーマンとして企業に雇われている中でも、思い切り自己実現ができるんだ!」ということですかね。「昔は起業したいと思っていたけど、もう決して起業することはないな」みたいな人も、挑戦をするっていうことを諦めないで欲しいな、と。「それを実現する仕組みはこっちが用意するんで!」と思っています。

ただしそれも仕組み次第なので、仕組みを作る側の方々と何か一緒に取り組んでいきたいですね。

最近は講演会などでそういう話をすると、社内起業の仕組みを持っている同士で、互いのアセットを持ち寄って、「社内起業による共創、事業の共創みたいなことをやろう」という話がたくさんあります。そういった依頼もある中で、どういう形にしていくかは今悩んでいるところです。

もし良かったら、是非一緒に取り組んでいきたいと思っています!

編集後記

本連載が始まってから初めての「社内起業家を支援する側」へのインタビューでしたが、事業に取り組む当事者と同等以上の熱量で、本気で支援に取り組んでいることが伝わってきました。

佐橋さんが語った「日本に“社内起業家という働き方”を増やしていきたい」という思いは、本メディア「incubation inside」が目指す世界観でもあります。

現状に満足することなく、さらに壮大なミッションに取り組むSBイノベンチャー社の取り組みに注目しつつ、「日本で社内起業を流行らせる」ためのコラボレーションを実現していきたいと思いました。


取材・構成・編集:加藤 隼 撮影・デザイン:古川 央士

佐橋 宏隆-image

SBイノベンチャー株式会社

佐橋 宏隆

2004年に旧ソフトバンクBB株式会社に新卒入社。 人事部門での業務に従事した後、社長室に異動し「ソフトバンク 新30年ビジョン」の策定に関わる。その後、SBエナジー株式会社の事業立ち上げを牽引。2014年に、新規事業創出をミッションとするSBイノベンチャー株式会社に参画し、事業推進部長としてグループ内からの社内起業家・新規事業の創出を推進。